自分に合った音域を決めることの大切さ、難しさ

自分に合った音域を決めることの大切さ、難しさ

皆さんこんにちは!ソングメーカー代表、井村淳也です。

このブログを読んで下さっている方の中には、カラオケが好きな方も多いのではないでしょうか?
昨今は、新型コロナウイルスの影響で不要不急の外出を自粛するようになり、好きなカラオケにも行けない方もいらっしゃるかと思います。

カラオケと言えば、自分が好きな歌を好きな高さで歌えるのがメリットの一つです。
今回のテーマは、その「楽曲の高さ、音域」についてです。

大体の音域を知り、イメージする

自分のキーを知る一般的なキーはどのくらい?

まず、一般的にはどのくらいの音域が考えられるのか?からご説明します。

個人差が大きく、一概に言い切れない部分も多いのですが、私のこれまでの経験から申し上げます。

プロとアマチュアでは大きく異なりますが、かなりざっくり言って、男性と女性では1オクターブ程度差があります。

もう少し細かく言うと、女性は大体高いドが出せるかどうか、という方が多いのに対し、
男性はその下(8半音下)のミあたりが高い音の一つの目安、というイメージです。

ド、というのは、有名な「ドレミの歌」で出てくる、かなり高音域の音です。
「さあ、歌いましょう~」の最後、伸ばす音が高いドなので、もしドレミの歌を男女混合でメロディラインをそのまま歌う場合、女性が少し苦しそうに歌うのに対し、男性は比較的余裕がある、という光景が多いのではないでしょうか。

これは、学校の校歌などでも同じことです。校歌でもやはり、最高音域がドやレ、場合によってはミあたりに設定していることが多く、女性は地声では高音域が辛くなってくるケースが多いです。

そして音域に関して言えば、大体1オクターブと少し出せるのが一般的で、女性よりも男性のほうがやや広めに出せることが多いようです。

(プロはもちろん上記の目安を大幅に超えてきます)

一般的な方であれば、大体、このあたりをイメージしていただくとそれほど大きく差は出てこないかと思われます。
実際、カラオケではキー設定を「オリジナル曲のキーとは違う高さ」に変えてあることが多いですよね。オリジナル曲がとても高いキーでできている場合は、一般的な方が歌いやすい高さに調整してある、ということになります。

それでも高い、とか、
カラオケのキーだと低いからオリジナルの高さに変える、と言った方は、
標準的な音域よりも低い声・高い声の方である可能性が高いです。

既に作曲が完成している場合は?

ギターで作曲した場合キーは後からでも変更可能です

編曲の依頼を頂いたお客様から、このようなご相談を頂くことがあります。

自分で作ってみた曲だが、どうにも高くて(低くて)歌いにくいんだよね。

これはしばしば起こる問題です。
なぜこのような問題が起こるのか、ご説明します。

例えば、アコースティックギターで作曲する場合。
ギターに限りませんが、和音(コード)を弾きながら作曲する場合が多いです。
基準となるコードを、Cメジャーコードから始める楽曲で作ることが多くなれば、自然とメロディラインの流れだったり、メロディが一番高くなる時の動き等が、ある程度制限されてきます。

その際、
Cメジャーから始めると少し低いから、Dメジャーから始めるように変えよう。
という対応ができれば問題ありません。これは移調と言いますが、基準となる高さが2半音上がることで、楽曲全体が同様に2半音上がります。
ちょうど、カラオケで歌うときにキーを「+」で上げるのと同じです。

しかし、作曲する際にこういった作業ができない場合は、なんとなく自分のキーに合わなくて違和感があるが、とりあえずそれで歌っている。
そんなケースが起こります。

このように、既に完成している楽曲の場合でも、お客様の音域、歌いやすい高さを伺い、最も合うと思われるキーに半音単位で調整します。
一度変更した後、「やっぱり戻してほしい」とか「もう少し変えたい」といったご要望にも対応可能ですのでご安心ください。

場合によっては、音域が広すぎると感じられる際は部分的にメロディラインそのものを調性することもご提案します。
もちろん、お客様がそのご提案に納得され、受け入れて頂くかどうかはお客様のご判断です。
こちらの考えを押し付けることは決してありませんのでご安心ください。

これはソングメーカーのすべてのご依頼・制作で最も大切にしている方針でもあります。

人と比べないこと。自分の声は自分だけのもの

自分だけの声を大切にして自分の声質、音域の良さを表現して

人は誰でも、もって生まれた喉、声質があります。
私は今音楽制作を仕事としていますが、それとは別に自分で自分の曲を作り、歌詞をつけ、自分自身で歌うという経験を長くしてきました。

私は地声がかなり低く、また喉が弱いため、すぐに喉が痛くなります。
少しおしゃべりに熱中しただけで喉が痛くなることもあります。
私がシンガーソングライターとして本格的に活動していた90年代頃は、高音ボーカリストが台頭し「どれだけ高いキーを出せるか」といった価値観が音楽界にありました。

もちろん、それがすべてではありませんし、高い声が出せることが何かの正解でもありません。
しかし私の場合、普段から高い声を出せないことがコンプレックスでもあり、無理をして喉を酷使し、喉を痛めることもしばしばありました。

音域を広げること、高い声を出せるようになること。
そのことにこだわりすぎ、囚われてしまっていたように思います。

もちろん、発声方法を変えたりボイストレーニングを行うことで、ある程度は音域は広がるはずです。私の場合はボーカル専門というわけではなく、今につながる音楽制作全般を行いながら、のボーカルでしたから、なかなか本格的にトレーニングをする時間も取れず、それでいて自分の求める声が出せない…と焦り落ち込んでばかりいたように思います。

とても綺麗で迫力のあるプロの歌手と自分を比べてばかりでした。

でも今は、こう思います。
自分に合った歌い方、音域で、無理をせず楽しんで歌えることが一番大切なこと。

だって、以前の自分は音楽を「楽しんで」いなかったから。
むしろ、苦しみながら、まるで自分自身を追い込んで無理をしていたように思います。

そう考えるようになってからは、自分が楽に出せる音域で、自然な声質で歌えばいいんだ、と思うようになりました。
無理して出した高音は、結局聞いていても気持ちのいいものではないし、どこか不自然ですよね。
音楽の本質から外れてしまうようにも思います。

そんな私が歌わせて頂いた楽曲がこちらです。

今ある幸せ(Arrange ver.)

お客様のオリジナル曲を、改めて作曲し直し、歌いれまでさせて頂いた楽曲です。
力まず、私の自然な声をそのまま歌にして届けられたらという思いで歌わせていただきました。

男声がここまで低いキーで歌うのはあまり多くないケースですが、自分にとって歌いやすい高さ、無理せず発声できる音域、を想定して作りました。

私自身、自分が歌いたい!表現したい!と長く考え、壁にぶつかり、悩んできました。
だからこそ伝えたい、楽しく歌うことの大切さがあります。

ソングメーカーでは、楽しく歌える歌を、いつまでも楽しめる歌を、届けていけたらと考えています。
最後までお読みくださりありがとうございました。

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