「うちの会社って、何のためにあるの?」に答えられる組織へ

「うちの会社って、何のためにあるの?」に答えられる組織へ

みなさんこんにちは!ソングメーカー代表兼制作者、中小企業診断士の井村淳也です。

経営者の方とお会いするたびに思うこと。

「うちの会社って、一体何のためにあるんだろう」

そんな漠然とした疑問を持っている経営者の方は、思いの外多い。

――これは診断士として多くの現場で痛感することです。

こちらは私が中小企業診断士として代表を務める、ソング中小企業診断士事務所のホームページです。

ソング中小企業診断士事務所
あなたと共に考え、悩み、成長できるパートナーでありたい。

組織にとって「何のために存在しているのか」という問いは、本来はとても根源的なものです。
しかし、日々の業務に追われる中で、この問いはいつの間にか脇に追いやられがちです。
売上を上げること、人を育てること、顧客に価値を届けること。
どれも大切な営みですが、“なぜそれをするのか” が語られないまま進んでしまうと、組織はただの「作業の集合体」になってしまいます。

中小企業診断士として多くの組織を見てきましたが、長く続く会社には、例外なく「自分たちの存在理由を語れる人」がいます。
逆に、離職が続いたり、組織がどこかぎこちなくなる企業では、社員ひとりひとりが「なぜここで働くのか」を言葉にできていません。

理念やビジョンは、立派な額縁に入れて壁に掲げるものではありません。
それは「この場所に集う私たちは、何を大切にして生きているのか」という共同体の呼吸です。

この記事では、組織が “存在理由を語れる状態” になるためのプロセスを、実務と心理の両面から丁寧に紐解きます。

この記事を読むことで得られること

  • 「存在理由」が語られない組織で起きる静かな疲弊(作業化・意味喪失・分断/離職)の構造がわかります
  • 原体験の掘り起こし→言葉の重心づくり→更新し続ける、という3段階プロセスを実務と心理の両面で学べます
  • 朝礼・1on1・会議・評価で“使える”実装法と、言葉で届かない温度を音楽/社歌で共有するヒントが得られます

まず結論:存在理由は「額のことば」ではなく、原体験に根ざした重心を対話で育て、日常で使い、更新し続ける“組織の呼吸”です。

「存在理由」が語れない組織に何が起きるのか

組織は、最初から「形」があるわけではありません。
人が集まり、働き、対話し、試行錯誤を重ねる中で、
少しずつ 文化のようなもの がにじみあがってきます。

その文化の中心にあるのが、
「私たちは、何のためにここにいるのか」という 存在理由 です。

しかし、この問いが語られないまま時が過ぎていくと、
組織には、ゆっくりと、しかし確実に変化が起き始めます。

それは、派手ではありません。
声を上げる人もいません。
けれど、確実に組織の呼吸を浅くしていきます。

◆ 作業だけが積み重なり、日々が“平坦”になる

朝が来て、仕事をして、帰る。
数字を追い、計画を立て、報告して、また次の日を迎える。

その営み自体は、決して悪いことではありません。
むしろ、ほとんどの仕事はその繰り返しで成り立っています。

けれど、“なぜそれをするのか” が曖昧なままだと、
それらは ただの作業の羅列 になってしまう。

同じことをしているはずなのに、
「生きている感覚」が薄れていく。

これが、組織にとって最も静かで、最も深い疲弊です。

◆ 自分の仕事が誰につながっているのかが見えなくなる

存在理由が語られない会社では、
社員が 自分の仕事の“意味” を見失います。

  • 何のためにやっているのか
  • 誰の役に立っているのか
  • この仕事に、どんな価値があるのか

その「つながり」が見えないまま働き続けることは、
自分自身の輪郭が薄れていく感覚に近い。

人は、意味を感じられない場所では、
やがて 心を乗せなくなります
心を乗せない仕事は、長くは続きません。

◆ 関係は“役割”に置き換わり、心の距離が生まれる

存在理由を共有できていない組織では、
人と人との関係が 「役割」だけ に回収されてしまいます。

  • 営業
  • 製造
  • 管理
  • 現場
  • 経営

互いを「人」ではなく「機能」として扱ってしまう。

もちろん、役割は必要です。
けれど、役割だけ で結ばれた組織は、
困難の時に 支え合う力 がありません。

支え合いは、役割ではなく、関係 から生まれるからです。

◆ 組織は“言葉のないまま揺らぐ”

存在理由は、
「壁に貼られた理念」でも
「説明資料に書かれたミッション」でもありません。

それは、
人が、人に、語りかける中で共有されるもの

語られない理念は、存在しないのと同じです。
語れないままの組織は、ゆっくりと 重心を失います

どこに向かい、どう立ち、何を大切にするのか。

それが言えない組織は、
たとえ業績が良くても、心の中では揺らいでいます。

そしてその揺らぎは、
ふとした瞬間に 離職分断 として表面化します。

組織が持つべき「存在理由」のつくり方

組織の「存在理由」は、会議室で整えるものではありません。
どこかから持ってきた“きれいな言葉”では、心に根を張りません。

存在理由は、生まれてきた背景から育ちます。
つまり、すでに組織の中にあるものを、そっと掘り起こす作業です。

そのためには、次の三つの段階を丁寧に踏む必要があります。

① 経営者自身の原体験から掘り起こす

組織の存在理由の“最初の灯”は、いつも 経営者の中 にあります。

  • なぜ、この仕事を選んだのか。
  • なぜ、他の道ではなく「この道」を歩いてきたのか。
  • どの瞬間に「続けたい」と思ったのか。
  • どんな場面で「もうやめられない」と感じたのか。

これは、事業というより、生き方の話 です。

ここにこそ、「この会社は何のためにあるのか」が宿っています。

言葉は、飾る必要はありません。
むしろ、不器用でいい。
揺らいでいていい。

揺らぎは、そのまま人間の温度だからです。

② 組織で共有できる“言葉の重心”を定める

存在理由は「文章」ではなく 「重心」 です。

つまり、全員が暗記できるような標語ではなく、
どんな場面でも戻ってこられる“中心の言葉”。

例えば:

  • 「人を大切にする」
  • 「誠実に仕事をする」
  • 「地域とともに歩む」

こうした言葉は、どの会社でも掲げられます。
しかし、ここでは表面的に見える言葉の下にある、
“なぜそれが、うちにとっては特別なのか” を言語化します。

「うちはなぜ“人を大切にする会社”なのか?」

この問いに答えられたとき、
その言葉は 他のどこにもない重さ を持ち始めます。

存在理由とは、
言葉の形ではなく、意味の深さ によって決まります。

③ 理念は「完成させる」のではなく「更新し続ける」

多くの企業がつまずくのは、
理念や存在理由を “完成品”として扱おうとすること です。

しかし、組織も人と同じく、成長し、揺れ、変わります。
だから、存在理由も 更新されていくもの です。

大切なのは、
常に立ち返れる 「問い」 を持つこと。

  • 私たちは、何のためにここに集まっているのか。
  • 私たちは、どんな価値をこの社会に手渡したいのか。
  • 私たちは、どんな関係でありたいのか。

この問いを、
節目に、対話に、ふだんの会話に、そっと置き続ける。

理念は、唱和するものではなく、語り続けるもの

語られることで息をし、
語られなくなると、静かに死んでいきます。

その存在理由を“伝わる形”に育てる

存在理由は、決めただけでは根づきません。
語られ、聞かれ、使われて、はじめて「生きたもの」になります。

つまり、理念とは「共有される経験」です。
ただ掲げるのではなく、共有できる状態 をつくることが重要です。

以下は、そのための三つの実践ステップです。

① “語れる状態”をつくる──ナラティブ共有の場を設計する

存在理由は、一方的に伝えても定着しません。

上から「これが理念です」と教える方法は、
組織を「受け身」にしてしまうからです。

必要なのは、対話です。

  • 経営者が、原点の物語を語る
  • それを聞いた社員が、「自分との接点」を言葉にする
  • 互いの物語が、組織の中で重なっていく

これが、ナラティブ共有というプロセスです。

ポイントは、
「合っているかどうか」ではなく、
“自分の言葉で言う” こと。

言葉は、自分の口から出たときに、はじめて自分のものになります。

② 日常の中で“使える形”にまで落とす

存在理由は、
研修の日だけ語られていても、意味を持ちません。

日々の仕事の中で、何度も、さりげなく、戻れる状態が必要です。

場面 どう活かすか
朝礼 「最近、存在理由を感じた瞬間は?」を一言共有
1on1 目標ではなく「この会社で何をしたいか」を扱う
会議 意見が割れた時の「どっちが存在理由に沿うか」の軸にする
評価 行動の“結果”ではなく“動機”も評価対象にする

存在理由は、判断基準として機能しはじめたとき、
組織の重心になります。

③ 言葉にならない領域は、音楽で共有する

存在理由を語ることはできます。
しかし、その 温度 は、言葉だけでは届けきれません。

組織には、その会社にしかない“空気”があります。

  • 働く人の表情
  • 現場に流れるリズム
  • 仕事に向かうときの姿勢
  • 誰かの背中を見て覚えた価値観

これらは、文章にも、スローガンにも、手帳にも収まりません。

ここで、音楽が役割を持ちます。

音楽は、言語化されない領域の 輪郭をそっと照らす表現 です。

言葉が「意味」を伝えるのに対し、
音は「温度」を伝える。

社歌は、理念を歌うものではなく、
その会社の息遣いを、身体レベルで共有するツール です。

だから、浸透のスピードも、深さも違う。

存在理由が“言葉”として理解され、
そして“音”として感じられたとき、
組織は、ひとつの呼吸で動きはじめます。

まとめ|存在理由は「語り続けることで生きていく」

組織にとって、存在理由はゴールではなく 呼吸 です。
完成された一文ではなく、何度も立ち返るための 灯火 です。

語ることは、確認すること。
感じ合うことは、つながること。
歌うことは、分かち合うこと。

存在理由は、
言葉と音のあいだに、静かに宿ります。

あなたの組織は、
その灯火を、どのように次の仲間へ手渡していくでしょうか。

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