新入社員が辞める本当の理由─育成より先に「迎え方」を設計したい

新入社員が辞める本当の理由─育成より先に「迎え方」を設計せよ

みなさんこんにちは!ソングメーカー代表兼制作者、中小企業診断士の井村淳也です。

経営者の方とお会いするたびに思うこと。

どんな業種・規模の会社であれ、社員の確保と定着ーことさら新入社員の採用は頭を悩ませている。

――これは診断士として多くの現場で痛感することです。

こちらは私が中小企業診断士として代表を務める、ソング中小企業診断士事務所のホームページです。

ソング中小企業診断士事務所
あなたと共に考え、悩み、成長できるパートナーでありたい。

「せっかく採用したのに、もう辞めたいと言われた」
「入社して数週間で、明らかに元気がなくなった」

こうした声は、規模や業種を問わず多くの企業で聞かれます。
しかし実際の現場を見ると、早期離脱の原因は“能力不足”ではないケースがほとんどです。

仕事ができないから辞めるのではありません。
「ここにいていい気がしない」から辞めていくのです。

新入社員は、入社した瞬間から
「この会社に居場所はあるのか」
「自分は歓迎されているのか」
を、言葉ではなく“空気”で感じ取っています。

研修内容やOJTの質よりも先に、
その場の雰囲気・接し方・距離感
「残るか・離れるか」を無意識に決めているのです。

本記事では、
新入社員の定着を左右する
“帰属の初期設計” という視点から、

  • なぜ早期離脱が起きるのか
  • 何を最初に整えるべきか
  • 現場でできる具体策

を整理していきます。

育て方より先に、
迎え方を設計する。
そこに、定着率改善の本質があります。

この記事を読むことで得られること

  • 新入社員の早期離脱が「能力不足」ではなく、“迎えられ方”で起きている理由が整理できます
  • 教育や研修より先に整えるべき「帰属の初期設計」の考え方と、現場で見るべきポイントが明確になります
  • 空気・表情・声色・距離感、そして音楽や儀式など、言葉を超えて帰属感を育てる具体策が持ち帰れます

まず結論:新入社員の定着を決めるのは育成制度ではなく、入社直後に「ここにいていい」と感じられる迎え方の設計です。

  1. なぜ新入社員は“こんなはずじゃなかった”と感じるのか
    1. 早期離脱の本当の原因はスキル不足ではない
    2. 入社後3か月で起きている心理変化
      1. 入社直後
      2. 1か月後
      3. 2〜3か月後
    3. 「期待」と「現実」のズレが生む孤立感
    4. 「こんなはずじゃなかった」の正体
    5. 早期離脱は「採用失敗」ではない
  2. 定着を分けるのは“教育”ではなく“帰属感”
    1. 人は「できる」より「ここにいていい」で踏み出す
    2. 心理的安全性と帰属意識の関係
    3. 評価・指導より先に必要なもの
    4. 「教育を手厚くしたのに辞める」理由
    5. 定着を決めるのは「最初の関係性」
  3. “帰属の初期設計”でやるべき3つのこと
    1. ① 役割より「居場所」を先に渡す
    2. ② できない期間を許容する設計
    3. ③ 小さな成功体験の意図的な演出
    4. 帰属感は「やさしさ」ではなく「設計」
    5. 「人が辞めない会社」は偶然ではない
  4. 言葉だけでは足りない──帰属感をつくる非言語要素
    1. 空気・表情・声色・距離感の影響
    2. 「歓迎されている」と感じる瞬間の正体
    3. 最初の1週間で決まる“感覚的印象”
    4. 帰属感は「言葉」で作れない
    5. 非言語は“会社の本音”が出る場所
  5. 音楽・儀式・共通体験が“仲間意識”を加速させる
    1. 同じリズムを共有すると何が起きるか
    2. 社歌・朝礼・テーマ曲が持つ心理効果
    3. 新人を“参加者”に変える仕掛け
    4. 帰属感は「仲良し」ではなく「同じ経験」
    5. 仲間意識は偶然ではなく設計できる
  6. まとめ|定着は制度ではなく「迎え方」で決まる
    1. 人は育つ前に“迎えられる”必要がある
    2. 帰属感は偶然ではなく設計できる
    3. 最初の30日間が組織の未来を決める
    4. 明日、新入社員に贈る「3つの設計」チェックリスト

なぜ新入社員は“こんなはずじゃなかった”と感じるのか

新入社員が早期に離職する場面で、企業側からよく聞く言葉があります。

  • 「最近の若手は根性がない」
  • 「仕事が合わなかったのでは」
  • 「覚える気がなかったのかも」

しかし、診断士として多くの現場を見てきて感じるのは、
離職の本当の理由は“スキル不足”ではないということです。

できないから辞めるのではなく、
「できない自分を置いておけない環境」だから辞めている
というケースが圧倒的に多いのです。

早期離脱の本当の原因はスキル不足ではない

入社したばかりの新人が、仕事をうまくこなせないのは当たり前です。

  • 業界知識がない
  • 社内ルールがわからない
  • 専門用語が飛び交う
  • スピードについていけない

これは誰しも通る道です。

それでも辞めずに残る人と、早期に離脱する人の違いは、

「できるかどうか」ではなく
「できなくても大丈夫だと思えるかどうか」

にあります。

  • 質問していい空気か
  • 失敗しても責められないか
  • 居場所があると感じられるか

この感覚がないと、

「迷惑をかけている」
「自分は場違いだ」
という思いが膨らみます。

そして、

できない → 申し訳ない → 相談できない → さらに孤立
という悪循環に入ります。

結果として、
「辞める」という選択肢が
自分を守るための行動になってしまうのです。

入社後3か月で起きている心理変化

多くの企業で、離職が増えるのは入社後1〜3か月です。

この時期、新入社員の心の中では次のような変化が起きています。

入社直後

  • 期待と不安が混在
  • 「頑張ろう」という気持ちが強い
  • 多少のことは我慢できる

1か月後

  • 仕事の難しさを実感
  • 「思っていたより大変」と感じ始める
  • 周囲と比較して落ち込みやすくなる

2〜3か月後

  • 自分だけできていない気がする
  • 相談するのが怖くなる
  • 「向いていないのかも」と考え始める

ここで重要なのは、
本人の中で勝手に結論が固まっていくことです。

周囲から見れば

  • 「まだ始まったばかり」
  • 「誰でも通る道」

でも、本人の中では

  • 「自分はダメだ」
  • 「この会社は合わない」

という物語が出来上がっていきます。

そして一度この物語ができると、ちょっとした出来事も

「やっぱり自分は向いてない」
と都合よく解釈されてしまいます。

「期待」と「現実」のズレが生む孤立感

入社前、新入社員は少なからず理想像を持っています。

  • 丁寧に教えてもらえる
  • 先輩が優しくフォローしてくれる
  • 少しずつ成長できる

しかし現実は、

  • 忙しそうで話しかけづらい
  • 質問すると申し訳ない気がする
  • 思ったより放置される

このギャップが、じわじわと心を削ります。

企業側は悪気がなくても、

  • 「見て覚えて」文化
  • 「そのうち慣れる」スタンス
  • 忙しさによる放置

これらが重なると、新人の中では

「自分は歓迎されていないのかも」

という解釈が生まれます。

人は、
孤立していると感じた瞬間に弱くなる
生き物です。

  • 誰にも頼れない
  • 誰にも期待されていない
  • 誰にも必要とされていない

そう感じたとき、仕事の内容以前に

「ここにいる意味がない」
と思ってしまうのです。

「こんなはずじゃなかった」の正体

新入社員が口にする

「こんなはずじゃなかった」

この言葉の裏には、

  • 仕事がきつい
  • 覚えることが多い

という表面的な理由よりも、

  • 「もっと迎えてもらえると思っていた」
  • 「一人にされると思っていなかった」
  • 「ここまで孤独だと思わなかった」

という感情のズレがあります。

つまり、

仕事内容の問題ではなく“迎えられ方”の問題

なのです。

早期離脱は「採用失敗」ではない

ここまで見ると、早期離脱は

「採用の見極めミス」
ではないことがわかります。

本質は、

入社後の“設計”の問題

です。

  • 迎え方
  • 関わり方
  • 距離の取り方
  • 声のかけ方

これらを意図せず放置すると、
どれだけ優秀な人材でも離れていきます。

次のセクションでは、この問題を解く鍵として、

定着を分けるのは“教育”ではなく“帰属感”
という視点から、さらに深掘りしていきます。

定着を分けるのは“教育”ではなく“帰属感”

多くの企業は、新入社員の定着を考えるとき、まず

  • 研修内容を見直そう
  • OJTの質を上げよう
  • マニュアルを整えよう

と、「教育」に目を向けます。

もちろん、教育は大切です。
しかし現場を見ていると、教育以前に決まっていることがあります。

それが、その人が「ここにいていい」と感じられているか。

人は「できる」より「ここにいていい」で踏み出す

新入社員が最初に欲しいのは、

  • 仕事の正解
  • 完璧なやり方
  • 評価される成果

ではありません。

本当に求めているのは、

  • 「今の自分でも、ここにいていい」
  • 「できなくても見捨てられない」

という感覚です。

この感覚があると、人は

  • 質問できる
  • 失敗を共有できる
  • チャレンジできる

ようになります。

逆に、この感覚がないと、

  • できない自分を隠す
  • 相談せずに抱え込む
  • 目立たないように動く

という行動になります。

成長のスタート地点に立てるかどうかは、スキルではなく“安心感”で決まる。

「できるようになったら受け入れる」のではなく、
「できなくても受け入れる」から、人はできるようになります。

心理的安全性と帰属意識の関係

心理的安全性とは、

  • 否定されない
  • 馬鹿にされない
  • 報復されない

という状態を指します。

帰属意識とは、

  • 自分はこの集団の一員だ
  • ここに居場所がある
  • 必要とされている

という感覚です。

この2つは、ほぼセットで動きます。

心理的に安全でなければ、「仲間だ」と感じることはできません。
逆に、「仲間だ」と感じられなければ、心理的に安全にはなりません。

診断士として現場を見ると、定着率が高い組織には共通点があります。

  • 失敗談を笑い話にできる
  • 新人の質問に“うんざり”しない
  • できたことを小さくても拾う

これらはすべて、
「ここにいていいよ」
というメッセージになっています。

言葉で言わなくても、態度と空気で伝わっているのです。

評価・指導より先に必要なもの

多くの上司は、良かれと思って

  • もっとこうしたほうがいい
  • このやり方は違う
  • 次はこうしてみよう

と指導します。

しかし、帰属感が育っていない段階での指導は、新人にとって

  • ダメ出し
  • 否定
  • 見放された感覚

として受け取られやすくなります。

同じ言葉でも、

  • 「仲間」から言われるのか
  • 「よそ者」から言われるのか

で、意味はまったく変わります。

指導や評価は、「仲間だ」と感じてからでないと逆効果になる。

「教育を手厚くしたのに辞める」理由

よくあるのが、

「研修もちゃんとやっているのに、辞める」

というケースです。

このとき現場で起きているのは、

  • 知識は教えられている
  • でも居場所は与えられていない

という状態です。

人は、
教えられても、受け入れられていないと感じた瞬間に心を閉じます。

だから、

  • 研修は受ける
  • 言われたことはやる
  • でも、気持ちは離れていく

という現象が起きます。

定着を決めるのは「最初の関係性」

ここまでまとめると、新入社員の定着を分けるのは、

  • スキル
  • 能力
  • やる気

ではありません。

最初に築かれる“関係性”
「ここにいていい」と思えるかどうか。

これです。

教育は、その土台の上で初めて意味を持ちます。

次のセクションでは、この帰属感を意図的に設計する方法として、

“帰属の初期設計”でやるべき3つのこと

を具体的に整理していきます。

“帰属の初期設計”でやるべき3つのこと

帰属感は、
「自然に芽生えるもの」ではありません。

放っておけば、
新人は勝手に不安になり、
勝手に孤立し、
勝手に「向いていない」という結論に辿り着きます。

だからこそ必要なのが、
“帰属の初期設計”です。

診断士として現場を見てきて、
定着している組織ほど、この初期設計が意図的に行われています。

その具体策が、この3つです。

① 役割より「居場所」を先に渡す

多くの企業は、入社初日にこう伝えます。

  • 「今日から◯◯の担当ね」
  • 「まずはこれを覚えて」
  • 「これがあなたの役割です」

もちろん業務説明は必要ですが、
役割だけを渡すと、人は不安になります。

なぜなら、

「ちゃんとできなかったら、ここにいられないのでは」
という恐れが先に立つからです。

帰属の初期設計で最初に渡すべきなのは、

  • 「あなたの席は、ここにある」
  • 「あなたは、もうチームの一員」

という居場所のメッセージです。

具体的には、

  • 朝礼で正式に紹介する
  • 「◯◯さん」と名前で呼ぶ
  • 雑談に自然に混ぜる
  • 昼食に誘う
  • 「わからなかったら何でも聞いて」と何度も言う

こうした一つひとつが、

「ここにいていいんだ」
という感覚をつくります。

診断士として現場を見ると、定着率が高い企業ほど、

  • 新人の席が“端っこ”ではない
  • チームの真ん中に物理的に置く
  • 声をかける頻度が多い

という空間設計まで意識しています。

居場所は、言葉より環境で伝わるのです。

② できない期間を許容する設計

新入社員は、最初は必ず失敗します。

それなのに現場では、

  • 「さっき言ったよね?」
  • 「それ前も間違えたよね」
  • ため息
  • 無言の圧

こうした反応が、無意識に出てしまいます。

すると新人は、

  • 「もう聞けない」
  • 「迷惑かけてる」
  • 「次は怒られるかも」

と感じ、質問しなくなります。

帰属の初期設計で重要なのは、

“できない期間”を前提にした設計

です。

例えば、

  • 最初の3か月は「間違えてOK期間」と宣言
  • 同じ質問は何回してもいいと伝える
  • 「失敗報告」を評価する
  • ミスを責めず、プロセスを一緒に振り返る

これだけで、

  • 隠さなくなる
  • 相談が増える
  • 成長スピードが上がる

という変化が起きます。

診断士として支援した企業で、
「最初の100日間は怒らないルール」
を決めたところ、

  • 新人の相談件数が3倍
  • ミスの早期発見
  • 離職ゼロ

という結果が出たケースもあります。

③ 小さな成功体験の意図的な演出

人は、

  • できなかった記憶
  • 怒られた記憶

のほうが強く残ります。

だからこそ、

意図的に「できた記憶」を作る設計

が必要です。

ポイントは、

  • 難しすぎないタスクを渡す
  • 達成できたら必ず言語化して褒める
  • チームの前で共有する

例えば、

  • 「電話対応、落ち着いてできてたね」
  • 「昨日より早く処理できてたよ」
  • 「その気づきいいね」

こうした小さな承認が、

「自分、役に立ってるかも」
という感覚を育てます。

診断士として現場を見ると、定着している組織ほど、

  • 褒めるポイントが細かい
  • 成果より“変化”を見る
  • できた瞬間を逃さない

という特徴があります。

これは偶然ではなく、
意図的に設計されているのです。

帰属感は「やさしさ」ではなく「設計」

ここで大切なのは、
帰属感づくりは

  • 優しさ
  • 性格
  • 相性

の問題ではない、ということです。

仕組みで作れるもの

です。

  • 居場所を渡す
  • できない期間を許容する
  • 小さな成功体験を演出する

この3つを意図的に回すだけで、
新人の表情は驚くほど変わります。

「人が辞めない会社」は偶然ではない

定着している会社は、
たまたま良い人が集まっているわけではありません。

迎え方が設計されている

それだけです。

次のセクションでは、
この帰属感をさらに強めるために、

言葉だけでは足りない──
帰属感をつくる非言語要素

について深掘りしていきます。

言葉だけでは足りない──帰属感をつくる非言語要素

「困ったら何でも聞いてね」
「うちはアットホームだから」

多くの会社が、こうした言葉を新人にかけます。

しかし実際には、
言われた内容より“どう言われたか”のほうが強く残ります。

人は、言葉よりも先に

  • 空気
  • 表情
  • 声色
  • 距離感

といった非言語情報で、
「歓迎されているかどうか」を判断しているからです。

空気・表情・声色・距離感の影響

例えば、同じ「おはよう」でも、

  • 笑顔で言われる
  • 忙しそうに言われる
  • 目を合わせずに言われる

受け取る印象は、まったく違います。

新人は特に、

  • 先輩の機嫌
  • 上司の余裕
  • 職場全体の緊張感

こうした空気の変化に敏感です。

「聞いていいよ」と言われても、

  • 話しかけると迷惑そう
  • いつも忙しそう
  • 声をかけると話が止まる

この状態では、

「本当は聞かないほうがいいんだな」
と解釈してしまいます。

つまり、

言葉と態度がズレた瞬間、態度のほうが真実として受け取られる
ということです。

「歓迎されている」と感じる瞬間の正体

新人が
「ここ、居心地いいな」
と感じる瞬間は、意外と些細です。

  • 名前で呼ばれた
  • 雑談に自然に入れてもらえた
  • 「それどう思う?」と意見を求められた
  • 失敗したときに笑ってもらえた

これらに共通するのは、

「存在を認識してもらえた」
という感覚

です。

人は、

  • 成果を出したとき
  • 評価されたとき

よりも先に、

“そこにいること”を認められたとき
に、安心します。

診断士として現場を見ると、定着している職場ほど、

  • 新人の名前がすぐ浸透する
  • 役職ではなく名前で呼ぶ
  • ちょっとした変化に気づく

という特徴があります。

これらはすべて、

「あなたは見えています」
「あなたは仲間です」

という無言のメッセージです。

最初の1週間で決まる“感覚的印象”

帰属感の土台は、
入社初日から1週間でほぼ決まる
と言っても過言ではありません。

この期間に新人が無意識に見ているのは、

  • 誰が誰と話しているか
  • どんなときに笑いが起きるか
  • ミスした人がどう扱われるか
  • 上司はどんな表情で現場を見るか

つまり、

「この会社の“当たり前”」

です。

ここで

  • ミス=怒られる
  • 質問=面倒がられる
  • 黙っている=無難

という空気を感じ取ると、
新人は自分を抑えるモードに入ります。

逆に、

  • ミス=一緒に考える
  • 質問=歓迎される
  • 沈黙=待ってもらえる

という空気を感じると、

  • 話していい
  • 頼っていい
  • ここにいていい

という感覚が育ちます。

帰属感は「言葉」で作れない

ここまで見てきたように、
帰属感は

  • スローガン
  • 研修資料
  • オリエンテーション

では作れません。

日常の何気ない態度の積み重ね
でしか生まれません。

  • どう迎えるか
  • どう目を合わせるか
  • どう返事をするか
  • どう間を取るか

こうした無意識の振る舞いが、
新人にとっては

「この会社で生きていけるか」
を決める材料になります。

非言語は“会社の本音”が出る場所

最後に大切な視点です。

企業が発信する理念や方針は、
あくまで「建前」です。

新人が見ているのは、

その会社の“本音”

です。

  • 忙しいときの態度
  • ミスした人への反応
  • 陰での会話

ここに、本当の文化が表れます。

次のセクションでは、
こうした空気づくりを意図的に加速させる仕掛けとして、

音楽・儀式・共通体験が
“仲間意識”をどう高めるのか

を掘り下げていきます。

音楽・儀式・共通体験が“仲間意識”を加速させる

帰属感は、
「大切にされていますよ」と言われて生まれるものではありません。

“同じ体験をした”という記憶によって、じわじわと育っていくものです。

そのために強力に働くのが、

  • 音楽
  • 儀式
  • 共通体験

です。

これらはすべて、
言葉を介さずに「仲間感」を生み出す装置です。

同じリズムを共有すると何が起きるか

人は、

  • 同じテンポで手拍子する
  • 同じメロディを口ずさむ
  • 同じ動きを繰り返す

これだけで、

  • 安心感
  • 一体感
  • 「同じ側にいる感覚」

が自然に生まれます。

これは心理論ではなく、生理反応です。

心拍や呼吸のリズムが近づき、脳が

「この人たちは自分と同じ集団だ」

と判断するからです。

だから、

  • ライブ会場
  • スポーツ観戦
  • 合唱

では、初対面の人とも一瞬で仲間意識が生まれます。

組織でも同じです。

同じリズムを共有する体験は、最短距離で「仲間」にしてくれるのです。

社歌・朝礼・テーマ曲が持つ心理効果

社歌やテーマ曲というと、

  • 「ちょっと恥ずかしい」
  • 「古臭い」

と感じる方もいるかもしれません。

しかし心理的には、非常に理にかなった仕組みです。

音楽には、

  • 場の空気を切り替える
  • 感情の方向性を揃える
  • 「今からこれをやる」というスイッチになる

という機能があります。

例えば、

  • 朝礼の前に同じ曲が流れる
  • イベントの開始音が決まっている
  • 社内動画に同じBGMが使われている

これだけで、

「この会社の時間が始まった」
という感覚が生まれます。

診断士として現場を見ると、音楽をうまく使っている会社ほど、

  • 朝の空気が軽い
  • 発言が出やすい
  • 新人の緊張がほぐれやすい

という変化が起きています。

これは、
音楽が“場の緊張”を先に溶かしているからです。

新人を“参加者”に変える仕掛け

新人が孤立する最大の理由は、

「見ているだけの人」になってしまうことです。

会議でも、

  • 聞いているだけ
  • メモを取るだけ
  • 発言しない

こうした状態が続くと、

「自分はまだ外側の人間」
という感覚が強まります。

これを壊すのが、参加型の仕掛けです。

  • 朝礼で一言コメントを回す
  • 社歌のサビだけ一緒に歌う
  • 月1回のミニイベントを設ける
  • 「新人の一言コーナー」をつくる

重要なのは、

上手くやらせることではなく、“場に入る体験”をさせること

です。

音楽や儀式は、

  • 発言の上手さ
  • 仕事の理解度

に関係なく、
全員を平等に参加者にできる仕組みです。

だからこそ、

新人を「見ている人」から「一緒にいる人」に変えられるのです。

帰属感は「仲良し」ではなく「同じ経験」

ここで大切な視点です。

帰属感は、

  • 仲良くなること
  • 雑談が多いこと

ではありません。

「同じ時間を過ごした」「同じ体験をした」
この積み重ねです。

音楽・儀式・共通体験は、
それを強制せずに自然に生む数少ない手段です。

仲間意識は偶然ではなく設計できる

多くの企業は、

「自然に馴染んでくれたらいいな」

と期待します。

しかし実際には、

馴染むかどうかは、設計で決まる

と言っても過言ではありません。

  • 同じリズムを共有する場をつくる
  • 定期的な儀式を設ける
  • 新人が“参加者”になれる仕掛けを用意する

これらを意図的に回すだけで、
帰属感は確実に育ちます。

まとめ|定着は制度ではなく「迎え方」で決まる

新入社員の定着を左右するのは、
研修制度や評価制度ではありません。

その前にあるのは、

「あなたを迎えています」という空気

です。

人は、

  • 成長できるか
  • 成果を出せるか

を考える前に、

「ここにいていいのか」
を無意識に判断しています。

育つかどうかは、その後の話です。
まず必要なのは、迎えられている感覚です。

人は育つ前に“迎えられる”必要がある

多くの企業が、

  • 「まず仕事を覚えさせよう」
  • 「即戦力になってもらおう」

と考えます。

しかし現場で見てきた限り、

不安な状態では、人は学べません。

緊張し、

  • 間違えたらどうしよう
  • 迷惑をかけたらどうしよう

と感じている間は、
頭のリソースが自己防衛に使われます。

だからこそ最初に必要なのは、

できるようにすることではなく
安心できるようにすること

なのです。

迎え方が整うと、

  • 質問が増える
  • 挑戦が増える
  • 失敗から学べる

という好循環が生まれます。

帰属感は偶然ではなく設計できる

「うちはたまたま雰囲気がいいから」

という組織ほど、
仕組みを持っていないケースが多いです。

しかし実際は、

帰属感は“運”ではなく“設計”

です。

  • 最初の声かけ
  • 座る位置
  • 紹介のされ方
  • 最初の仕事の渡し方
  • 朝礼やミーティングの関わり方

こうした細部の積み重ねが、

「自分はこの組織の一員だ」
という感覚をつくります。

音楽・儀式・共通体験も、
その設計の一部です。

偶然馴染むのを待つより、
馴染む構造をつくる方が確実です。

最初の30日間が組織の未来を決める

診断士として見てきて、
はっきり言えることがあります。

最初の30日で、8割は決まる

ということです。

この期間に、

  • 話しかけてもらえたか
  • 失敗しても大丈夫だったか
  • 居場所があったか

これがその後の

  • 定着率
  • 成長速度
  • 主体性

を大きく左右します。

裏を返せば、

最初の30日を丁寧に迎えれば、
その後は驚くほどスムーズになる

ということでもあります。

制度は後からでも変えられます。
しかし、

最初の印象は、やり直せません。

だからこそ、

「どう育てるか」よりも
「どう迎えるか」

ここに、
組織づくりの本質があります。

明日、新入社員に贈る「3つの設計」チェックリスト

  1. 居場所の確認: 彼のデスクに、名前入りの備品やメッセージはあるか?
  2. 心理的安全の宣言: 「最初の30日はミスを報告したら褒める」と伝えたか?
  3. リズムの共有: チーム全員で同じ音、同じ時間、同じ体験を共有したか?
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