
みなさんこんにちは!ソングメーカー代表兼制作者、中小企業診断士の井村淳也です。
経営者の方とお会いするたびに思うこと。
周年イベント、記念行事。これらを「なんとなく」「惰性で」行っている企業は、思いのほか多い。
――これは診断士として多くの現場で痛感することです。
こちらは私が中小企業診断士として代表を務める、ソング中小企業診断士事務所のホームページです。

創業○周年。
社内イベントを開き、記念品を配り、式典も無事に終えた。
「よくやった」「いい周年だった」と、その日は確かに盛り上がる。
しかし数か月後、こう感じていないでしょうか。
――結局、何が残ったのだろうか。
――売上も、採用も、ブランドも、特に変わっていない。
多くの周年事業が、「打ち上げ花火」で終わってしまうのは偶然ではありません。
周年を「祝う日」として設計した瞬間に、その価値は一日に閉じ込められてしまうからです。
本来、周年は
過去を振り返るための行事ではなく、
企業の価値や物語を再定義し、未来へ引き継ぐ絶好のマーケティング資源です。
にもかかわらず、多くの企業では
・イベントはイベント
・広報は広報
・採用は採用
と分断されたまま進められ、
結果として「思い出」以上のものが残りません。
本記事では、
周年事業を単発で終わらせず、
「持続的に効き続ける資産」へと変えるためのマーケティング視点を整理します。
なぜ周年は忘れられるのか。
何を設計すれば、周年が語られ続けるのか。
そして、どうすれば営業・採用・ブランドに波及していくのか。
その答えは、
「盛り上げ方」ではなく、
「残し方」をどう設計するかにあります。
この記事を読むことで得られること
- 周年事業が「その日限り」で終わってしまう構造的な理由を、診断士視点で整理できます
- 周年を“記念行事”ではなく「企業価値を再定義するマーケ資源」として捉え直す視点が得られます
- 周年を営業・採用・ブランドへ波及させ、数年使える資産に変えるための設計ポイントが明確になります
まず結論:周年は「盛り上げる日」ではなく、会社の物語と価値を再定義し、未来に効き続ける資産として“残す設計”をするべき投資です。
なぜ周年事業は「その日限り」で終わってしまうのか
周年事業が終わったあと、
「いいイベントだったね」という言葉だけが残る。
そして数週間、数か月が経つと、社内でも社外でも話題に上らなくなる。
この現象は、特定の企業だけに起きているわけではありません。
周年事業の多くが、構造的に“その日限り”で終わるように設計されているのです。
周年=イベント化してしまう構造的理由
多くの企業では、周年を迎えると最初にこう考えます。
- 記念式典をやろう
- 社内イベントを企画しよう
- 取引先を招待しよう
ここで周年は、自然と「行事」「イベント」という枠に押し込められます。
イベントとは本来、
その場に集まった人の体験を最大化するためのものです。
逆に言えば、時間も空間も限定されている。
この時点で、周年事業は
- 「一日で完結するもの」
- 「終われば役割を終えるもの」
になってしまいます。
盛り上がるかどうかは重要でも、
残るかどうかは設計されていない。
これが最初のボタンの掛け違いです。
社内向け/社外向けが分断される問題
周年事業が機能しない企業には、もう一つ共通点があります。
それは、社内向けと社外向けが完全に分断されていることです。
- 社内向け:慰労、感謝、結束
- 社外向け:広報、PR、信頼獲得
目的が違うのは当然ですが、
多くの場合、メッセージまで分断されています。
社内では感謝の言葉を伝え、
社外では実績や沿革を語る。
その結果、
- 「この会社は何を大切にしているのか」
- 「なぜここまで続いてきたのか」
という一本の物語がどこにも残りません。
周年が終わった瞬間、
社内にも社外にも共有される“共通の記憶”が存在しない。
これでは、後に続くはずがないのです。
「祝ったが、何も残らない」企業の共通点
診断士として現場を見てきて感じる、
「祝ったが、何も残らない」企業には、はっきりした共通点があります。
- 周年を“過去の総括”としてしか扱っていない
- メッセージが抽象的で、語り継がれない
- 周年後の活用(Web、営業、採用)を考えていない
つまり、周年を
未来に使う資産ではなく、過去を締める儀式
として扱っているのです。
この設計では、どれだけ費用をかけても、
残るのは写真と集合写真だけになります。
診断士視点:周年事業が費用対効果を生まない典型パターン
実務の現場でよく見る、費用対効果を生まない周年事業には、次のようなパターンがあります。
- イベント費用は大きいが、後工程がゼロ
- 制作物(動画・パンフレット)が使い回されない
- 営業・採用・広報と一切連動していない
この状態では、周年事業は
「高価な社内行事」で終わってしまいます。
逆に言えば、
周年事業が機能している企業は、必ずこう考えています。
この周年は、
終わったあとに何に使えるのか。
周年を「一日」に閉じ込めるのか、
「数年使える資産」に変えるのか。
その分岐点は、最初の設計思想にあります。
周年事業の本質は“記念”ではなく“再定義”にある
周年事業を「祝う行事」として捉えた瞬間に、その価値は過去へと閉じていきます。
一方で、周年を「再定義の機会」として捉えた企業では、その後の経営・ブランド・採用にまで影響が波及していきます。
この違いを生むのは、周年に対する視点の置きどころです。
周年はブランド・理念・存在意義の棚卸し機会
周年とは、単に「何年続いたか」を示す節目ではありません。
本質的には、
- なぜこの事業は続いてきたのか
- 何を大切にしてきたから生き残れたのか
- これからも残すべき価値は何か
を問い直す、数少ない公式な機会です。
日常業務の中では、こうした問いは後回しにされがちです。
しかし周年という節目があるからこそ、
経営・現場・社外に対して、同じ問いを投げる正当性が生まれます。
つまり周年は、
ブランド・理念・存在意義を一度解体し、今の言葉で再構築するための棚卸し装置なのです。
「何年続いたか」より「なぜ続いたか」
周年事業でよく語られるのは、
- 創業年
- 沿革
- 年数の長さ
です。
もちろんそれ自体に意味はあります。
しかし、それだけでは「すごい会社」で終わってしまう。
本当に問われるべきなのは、
なぜ、この会社は続いたのか。
市場環境の変化、競合の出現、経済の浮き沈み。
それでも続いた理由は、必ずどこかにあります。
- 顧客との向き合い方
- 判断基準
- 譲らなかった価値観
この「なぜ続いたか」を言語化できたとき、
周年は初めてブランドの芯になります。
経営メッセージを更新する装置としての周年
周年事業は、経営メッセージを「出す場」ではなく、
更新する場でもあります。
過去に語ってきた理念やビジョンが、
今の組織・市場・社会に本当に合っているのか。
- 言葉が古くなっていないか
- 現場の実感とズレていないか
- 社外から見て伝わる形になっているか
周年というタイミングだからこそ、
こうした見直しが「変節」ではなく「進化」として受け取られます。
周年は、
経営が自らの言葉を磨き直し、未来に向けて再提示するための正当な理由なのです。
社内外に同時に効かせる視点
周年事業を再定義の機会として捉えると、
社内向け/社外向けという分断は意味を持たなくなります。
なぜなら、
- 社員に伝えたい価値
- 顧客に伝えたい価値
は、本来同じ根から生えているからです。
社員が誇りを持てる物語は、
そのまま顧客にとっての信頼理由になります。
逆に言えば、
社外に向けて語れない周年メッセージは、
社内でも腹落ちしない。
周年を「再定義」として設計するとは、
社内外に同時に通用する一本の物語をつくることに他なりません。
周年事業の本質は、過去を称えることではなく、
これから何者として生きていくのかを言い切ることです。
次のセクションでは、
この再定義を「一度きり」で終わらせず、
継続価値に変えるための具体的なマーケ設計に入っていきます。
周年を“継続価値”に変える3つのマーケ設計
周年事業を「持続的な資産」に変えられる企業は、最初からこう考えています。
この周年は、
終わったあとに
何として残るのか。
ここでは、周年を単発で終わらせず、
時間を超えて効き続けるマーケ資源に変えるための、
3つの設計視点を整理します。
① 時間軸設計:前後に意味を持たせる(プレ/ポスト周年)
多くの周年事業は、「当日」をピークに設計されています。
しかし本来、周年の価値は前後の時間の使い方で決まります。
たとえば、
- 周年前:
創業の背景や転換点を少しずつ発信する
社員・顧客に問いを投げかける - 周年当日:
それらを一本の物語として集約する - 周年後:
周年で言語化した価値を、営業・採用・広報で繰り返し使う
こうして初めて、周年は
「一日」ではなく「一年単位の活動」になります。
周年を点で捉えるのではなく、
線として設計する。
これが最初の分岐点です。
② 物語化:歴史・挑戦・転換点をストーリーにする
周年事業が記憶に残らない最大の理由は、
情報が事実の羅列で終わってしまうことです。
- 創業〇年
- 事業拡大
- 拠点増加
これらは事実としては正しくても、
人の感情を動かしません。
重要なのは、
- なぜその選択をしたのか
- どんな葛藤があったのか
- 何を守り、何を変えたのか
といった「過程」です。
周年を物語化するとは、
会社の歴史を美化することではありません。
判断の積み重ねを、意味のある流れとして語ること。
これができたとき、
- 社員は自分たちの仕事を「物語の続き」として捉え始める
- 顧客はその会社を「背景を持った存在」として認識する
③ 接点化:顧客・社員が関われる形に落とす
周年が資産になるかどうかを分ける最大のポイントは、
誰が関わっているかです。
- 聞かされる周年
- 見せられる周年
ではなく、
- 参加できる周年
- 語れる周年
になっているか。
たとえば、
- 社員が自分の言葉で語れるエピソードがある
- 顧客が共感できる場面が含まれている
- 周年の話題が会話に使える
こうした「接点」があると、周年は自然と広がっていきます。
周年をコンテンツ化するとは、
制作物を増やすことではなく、
語りやすい素材をつくることです。
単発から連続コンテンツへの転換
3つの設計をまとめると、
周年を継続価値に変える鍵は明確です。
- 一日で終わらせない
- 物語として語れる
- 人が関われる
この条件がそろった周年は、
Web、SNS、営業資料、採用説明、展示会など、
あらゆる場面で再利用されます。
つまり周年は、
一度つくって終わるものではなく、
何度も使えるマーケ資産
になるのです。
次のセクションでは、
この継続価値をさらに強化する要素として、
音楽・映像・体験がなぜ効くのかを掘り下げます。
音楽・映像・体験が周年価値を拡張する理由
周年事業で本当に残るものは何でしょうか。
スピーチの全文でしょうか。
沿革をまとめた冊子でしょうか。
多くの場合、残るのはそれらの「情報」ではありません。
その場で感じた空気や感情です。
周年が資産として機能するかどうかは、
情報をどれだけ伝えたかではなく、
どんな感情として記憶されたかで決まります。
周年は「情報」より「感情」で記憶される
人は周年事業を、
論理的な説明としてではなく、
一つの体験として記憶します。
- あの場の雰囲気
- 社員の表情
- 空気の温度感
こうした要素が、
「いい周年だった」「印象に残った」という評価をつくります。
だからこそ、
- 資料を増やす
- 説明を丁寧にする
だけでは、周年の価値は広がりません。
周年を“思い出され続ける出来事”にするには、
感情を伴う体験として設計する必要があります。
音楽が歴史と未来を一本でつなぐ仕組み
音楽が周年事業と相性が良い理由は明確です。
音楽は、
- 過去の記憶を呼び戻す
- 今の感情を高める
- 未来への期待を重ねる
という三つの時間軸を、同時に扱えるメディアだからです。
周年の場で音楽が流れた瞬間、
- これまでの歩み
- 今ここにいる意味
- これから進む方向
が、言葉を介さず一つに重なります。
音楽は、
歴史を振り返るだけでも、
未来を語るだけでもなく、
「続いていく物語」として体験させる装置なのです。
社歌・周年ソング・テーマ曲の実務的使い道
社歌や周年ソングは、
イベント当日の演出にとどまるものではありません。
むしろ価値が発揮されるのは、その後です。
- 周年動画やWebコンテンツ
- 採用説明会や会社説明資料
- 展示会や商談での映像
- 社内イベントや朝礼
同じ音楽を繰り返し使うことで、
「この会社らしさ」が感情として定着していきます。
言葉を毎回説明しなくても、
音が流れた瞬間に、
周年で共有した世界観が立ち上がる。
これが、音楽を使う最大の実務的メリットです。
イベント後も“思い出され続ける装置”としての音
周年事業が打ち上げ花火で終わるかどうかは、
イベント後に何が残っているかで決まります。
音楽が残っている周年は、
- ふとしたタイミングで思い出される
- 会話のきっかけになる
- 別の場面で再利用される
という特徴を持ちます。
これは偶然ではありません。
音楽は、
記憶を再起動するスイッチだからです。
イベントが終わっても、
音が流れれば、
あの日の感情がもう一度立ち上がる。
周年を「一日」に閉じ込めず、
時間を超えて思い出させる装置として機能させる。
それが、音楽・映像・体験を組み込む意味です。
次のセクションでは、
こうして拡張された周年価値を、
営業・採用・ブランドへどう波及させるかを整理します。
周年を“営業・採用・ブランド”に波及させる実装法
周年事業が「持続的な資産」になるかどうかは、
イベント後に何に使われているかで決まります。
周年を祝った事実そのものではなく、
周年で言語化・体験化した価値が、
どの業務に組み込まれているか。
ここでは、周年を営業・採用・ブランドへ波及させるための
実装の考え方を整理します。
Web・SNS・展示会・会社説明会への展開
周年でつくったコンテンツは、
単体で完結させるにはあまりにももったいない。
- 周年動画
- 周年メッセージ
- 物語化された創業ストーリー
- 音楽やテーマ曲
これらはすべて、既存の接点に組み込める素材です。
たとえば、
- Webサイトのトップや採用ページ
- SNSでの連載投稿
- 展示会ブースでの映像演出
- 会社説明会の冒頭コンテンツ
周年コンテンツを「新しく何かを足す」のではなく、
すでにある接点の質を上げるために使う。
この発想が重要です。
こうして周年は、
一過性の特設企画ではなく、
日常のコミュニケーションの一部になります。
営業トーク/採用ストーリーへの組み込み
周年の最大の強みは、
「語っても違和感がない理由」を持っていることです。
営業の場で、
- なぜこの会社はこのやり方を続けているのか
- なぜ価格ではなく価値で勝負しているのか
を語るとき、
周年で整理した「なぜ続いたか」の物語は、
非常に強い説得力を持ちます。
同じことは採用でも言えます。
- どんな価値観の人が合うのか
- 何を大切にして働いているのか
を説明するとき、
周年ストーリーがある会社は、
言葉に芯が通る。
結果として、
- 営業では価格競争に巻き込まれにくくなり
- 採用ではミスマッチが減っていく
社員の語りが変わると、社外の反応が変わる
周年を資産にできている企業に共通するのは、
社員の語りが変わっていることです。
- 自分の会社をどう説明するか
- なぜこの会社で働いているのか
- どんな価値を提供しているのか
周年を通じて物語が共有されると、
社員は自分の言葉で語れるようになります。
これは、
マニュアルを覚えさせた結果ではありません。
「腑に落ちた」から、自然に語れる。
この状態になると、
- 展示会での何気ない会話
- 商談前後の雑談
- 知人への紹介
こうした場面で、
社外の反応が変わり始めます。
ブランドは、
広告ではなく人の語りによって広がっていく。
周年はその語りを整える、絶好の機会です。
診断士視点:中小企業ほど周年活用の伸び代が大きい理由
実務の現場で見ていて強く感じるのは、
中小企業ほど周年事業の伸び代が大きいということです。
理由はシンプルです。
- 創業者の想いがまだ近くにある
- 意思決定の背景が語れる
- 歴史が抽象化しすぎていない
つまり、物語の素材が生きている。
大企業の周年が「公式行事」になりがちなのに対し、
中小企業の周年は、
経営・現場・顧客がつながるリアルな物語にしやすい。
だからこそ、
中小企業が周年を「打ち上げ花火」で終わらせるのは、
非常にもったいないのです。
周年を、
営業・採用・ブランドに静かに効き続ける資産へ。
それができるかどうかは、
規模ではなく設計の視点で決まります。
まとめ|周年事業は「祝う行事」ではなく「未来をつくる投資」
周年事業が意味を持つかどうかは、
どれだけ盛り上がったかではなく、
その後に何が残っているかで決まります。
一日で終わる周年と、
何年も語られ続ける周年。
その差を生むのは、偶然でも規模でもありません。
単発で終わらせない鍵は“設計”
周年が打ち上げ花火で終わる企業は、
周年を「イベント」として設計しています。
一方で、残る周年をつくる企業は、
周年をプロジェクトとして設計しています。
- 時間軸(前後にどう使うか)
- 物語(なぜ続いたのかをどう語るか)
- 接点(どこで、誰が使うか)
この設計があるかどうかで、
周年は一日限りの行事にも、
長く効き続ける資産にもなります。
周年は最強のブランド素材
周年ほど、
「語っていい理由」がそろった素材はありません。
- 自社の歴史
- 判断の背景
- 大切にしてきた価値
これらを公式に語れるタイミングは、
実は多くありません。
周年は、
ブランド・採用・営業に共通して使える
最強の原石です。
それを磨いて資産にするか、
そのまま一度きりで終わらせるか。
違いは、活かす意志があるかどうかです。
残る周年と消える周年の分岐点
残る周年は、
「思い出」で終わりません。
- 社員の語りが変わる
- 社外の見られ方が変わる
- 次の意思決定の軸になる
消える周年は、
イベントが終わった瞬間に役割を終えます。
周年を、
過去を祝うための行事にするのか。
未来をつくるための投資にするのか。
その分岐点は、
最初にどう設計するかにあります。
周年は、一度きりです。
だからこそ、
一日で終わらせるには、あまりにも価値が大きい。
「祝ったか」ではなく、
「未来に何を残したか」
その視点で、周年事業を捉え直してみてください。



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