
みなさんこんにちは!ソングメーカー代表兼制作者、中小企業診断士の井村淳也です。
経営者の方とお会いするたびに思うこと。
採用の悩み、いかにして良い人材に来てもらうか、自社を必要としてももらうか。
これは経営者の方にとって永遠のテーマかもしれません。
――これは診断士として多くの現場で痛感することです。
こちらは私が中小企業診断士として代表を務める、ソング中小企業診断士事務所のホームページです。

採用説明会の場で、学生が「この会社に入りたい」と感じる瞬間──それは情報量ではなく“物語”の力によって生まれます。企業理念や福利厚生、キャリアパスをどれだけ丁寧に説明しても、心が動くとは限りません。心を動かすのは「自分ごと化」された物語です。今回は、採用活動におけるストーリーテリングの本質と、その実践方法を考えます。
この記事を読むことで得られること
- なぜ「情報説明」では刺さらず、ストーリーが学生の“自分ごと化”を生むのかがわかります
- 理念を物語に翻訳する3ステップ(出来事→感情→学び)の具体像がつかめます
- 採用説明会を共感の場に変える体験設計(冒頭10分・スライド演出・音楽活用)の要点が整理できます
まず結論:採用を動かすのはスペックではなく“物語”──理念を感じさせるストーリーテリングを設計できた会社から、応募と定着が連動し始めます。
採用にストーリーが必要な理由:共感が未来の仲間を動かす力になる
情報だけでは学生の心に残らない理由
採用説明会では多くの企業が制度や強みを丁寧に説明しますが、学生の記憶に残る企業は意外なほど少ないです。なぜなら、説明が“情報の伝達”で終わってしまっているからです。
学生が求めているのは論理ではなく共感の物語
学生は企業をスペックで比較しているようで、実際は「自分がここで働く姿を想像できるか」で判断しています。企業の存在理由や挑戦の背景、社員の想いなど、人の物語に触れることで未来を重ねるのです。
感情の接点が心に火をつける
給与や福利厚生、成長環境が整っていても、心を動かすのは感情の接点です。
「どうしてこの会社はこの道を選んだのか」「なぜこの価値観を大切にしているのか」──その“なぜ”を語ることで、説明は記憶に残るメッセージへと変わります。
ストーリーが社内文化にも影響を与える理由
ストーリーには、企業内部の一体感を生む力もあります。理念を語るのではなく、理念を体現するエピソードを共有することで、社員自身が会社の価値観を再確認できます。
採用と社内文化をつなぐストーリーテリングの循環
「学生に語るための物語」が「社内文化を再定義する物語」になる。この循環こそが、ストーリーテリングの真の力です。
事実よりも“意味”が求められる時代において
ストーリーは企業が「何をしているか」ではなく、「なぜそれをするのか」を伝える手段です。採用の場で語られるひとつの物語が、未来の仲間の心を動かし、経営そのものを動かす第一歩になります。
企業理念をストーリーに変える方法:抽象から感情へ伝える3ステップ
理念は“核”でありながら、そのままでは届かない
「お客様第一」「人を大切にする」「社会に貢献する」などの理念は正しい言葉ですが、抽象的なままでは他社との差別化が難しく、学生の心にも残りにくいです。求められているのは、きれいな言葉ではなく、リアルな情景です。
理念を行動として語ることで言葉が生きる
「人を大切にする会社です」と伝えるよりも、「入社3年目の社員が提案した改善案を社長が即採用し、社内表彰された」といった具体的な出来事を語る方が、はるかに伝わります。理念が行動や出来事として語られた瞬間、言葉は生きたメッセージに変わります。
理念は説明するものではなく、感じさせるもの
理念を説明しようとすると理屈っぽくなり、聞き手との距離が広がります。理念は「説く」のではなく「感じさせる」もの。そのために必要なのが、ストーリーという“翻訳”のプロセスです。
理念をストーリーに変える3つのステップ
- 理念を象徴する出来事を探す
社員の挑戦、顧客からの感謝など、理念が自然に表れている場面を抽出します。 - そのときの感情を掘り下げる
登場人物の喜び、悔しさ、緊張などを描写することで、理念が人の物語になります。 - 出来事の意味を“学び”として整理する
その経験を通じて会社や個人がどう変わったのかを伝えることで、理念の実践が見えてきます。
理念が働くイメージに変わる瞬間
この3ステップを踏むことで、理念は行動として語られ、学生にとって「働くイメージ」に変わります。それは単なる会社紹介ではなく、「この文化の中で自分も成長したい」と感じてもらう体験になります。
理念は羅針盤であり、ストーリーはその光
企業にとって理念は内側の羅針盤ですが、ストーリーにすることで外に届く光に変わります。理念を語ることは、過去の出来事を整理する作業ではなく、未来へのメッセージを紡ぐことなのです。
ストーリーテリングの構成3要素:採用で心を動かす物語のつくり方
伝わるストーリーには明確な構造がある
採用説明会で心に残るストーリーは、単なるエピソード紹介ではなく、聞き手が流れを追いやすい構造を持っています。その構造があるからこそ、最後に納得や共感が生まれます。
ストーリーを形づくる3つの要素
- 主人公──誰の視点で語るか
学生が共感するのは“会社”ではなく“人”です。新入社員の奮闘、リーダーの挑戦、創業者の想いなど、ストーリーには必ず主人公が必要です。社員一人ひとりが「自分の物語」を持ち、それを語れる状態こそが、強い企業文化の証です。 - 葛藤──困難があるから共感が生まれる
順調な成功物語よりも、失敗や迷いを乗り越えたプロセスの方が記憶に残ります。たとえば「入社直後に自信を失った社員が、先輩の支えで再び挑戦した」といった話は、聞き手の心を動かします。葛藤は恥ではなく、企業の価値観を映す鏡です。 - 価値──何を学び、どう変わったか
ストーリーは「どうなったか」で終わるのではなく、「何を学び、どう変わったか」を語ることで、企業の理念が伝わります。「この失敗があったから、今の仕組みがある」と語れる企業は、理念が血肉化している証です。
あらゆる媒体に応用できるストーリー構成
この3要素は、社員紹介動画や採用パンフレット、企業説明スライドなど、どの媒体にも活用できます。たとえばPRソングの歌詞でも、主人公=社員、葛藤=現場の努力、価値=企業の理念として表現できます。
音楽が理念を「感じる体験」に変える力
歌になった瞬間、ストーリーは聴く人の心に“共感のリズム”として刻まれます。理念を感じる体験に変える手段として、音楽ほど力強いツールはありません。企業の想いを伝える方法として、感情に響く表現を意識することが大切です。
心を掴むプレゼンの設計方法:採用説明会を共感の場に変える体験設計
良いストーリーをどう届けるかが印象を左右する
どれほど魅力的なストーリーを持っていても、それをどう届けるかによって印象は大きく変わります。採用説明会は、企業が学生と初めて心を通わせる場です。限られた時間の中で、情報量よりも感情の深さが勝負になります。
1. 最初の10分で共感の文脈をつくる
学生の集中力が最も高いのは冒頭の10分です。この時間に予想外の展開や感情のスイッチを入れられるかどうかが、その後の印象を決定づけます。
– 創業当時の失敗談から始める
– 社員の一言を引用して「この言葉が会社を変えた」と語る
– データではなく“人の温度”を感じる導入を意識する
冒頭で共感の文脈をつくることで、学生はその先の話を“自分事”として受け止めるようになります。
2. スライドは説明ではなく演出に使う
スライドに情報を詰め込みすぎると、かえって伝わりにくくなります。本来スライドは「補足」ではなく「演出装置」であり、視覚的な刺激が聴覚情報を補強し、感情の記憶を残します。
– 創業時の写真や社員の笑顔、現場の風景を活用する
– 軽いBGMを重ねて会社の空気感を伝える
– 「伝えたい一点」に絞って構成する
すべてを説明しようとせず、「何を感じてほしいか」を中心に設計することが大切です。
3. ストーリーを体験化する工夫
言葉だけでなく、体験として感じさせる演出も効果的です。
– 若手社員が自分の成長ストーリーを語る
– 会社を象徴するキーワードを音楽にのせて流す
こうした五感を使う演出は、オンライン説明会でも十分に効果を発揮します。映像や音楽は理念を記憶ではなく感情に刻むツールであり、特に音楽には人の心理を数秒で変える力があります。企業の文化や価値観を直感的に伝える“音声的名刺”として機能します。
プレゼンとストーリーは一貫した体験設計で考える
ストーリーの設計とプレゼンの演出は別物ではなく、一貫した体験設計として捉えることで、採用説明会は情報提供の場から共感の場へと変わります。伝えるのではなく、感じてもらう──そこに次世代の採用戦略の本質があります。
ストーリーが採用力を変える理由:共感から共創へつながる物語の力
ストーリーは人を惹きつけるだけでなく、採用力そのものを変える
企業の理念を物語として語り、学生がそれに共感した瞬間──その感情は「応募」や「入社」を超えて、「この企業で働きたい」という内的な動機へと変わります。採用活動と組織文化は地続きであり、語られたストーリーと入社後の体験が一致しているかどうかが、定着率やエンゲージメントに大きく影響します。
共感の採用が共創の文化を生む
採用時に語られた物語が、入社後も社員の中で生き続けることで、企業文化は自然と一体化していきます。逆に、語られた内容と現実が乖離していれば、失望や離職につながります。共感の採用は、社員が物語の続きを自分で紡ぐ“共創の文化”を育てます。
ストーリーが企業を変える3つの段階
- 採用段階──共感で「応募」が生まれる
学生が惹かれるのは業績や待遇ではなく、“物語の熱量”です。創業者の苦労、挑戦の連続、仲間との支え合いなどの実話が、「この会社なら頑張れるかも」という感情を生みます。情報ではなく情緒、数字ではなく物語──そこに初期接点の差別化があります。 - 定着段階──理念が“日常の軸”になる
ストーリーは入社後も生き続けます。新人研修や社内報、イベントなどで語り継がれることで、理念が「思い出」ではなく「行動の指針」になります。社員が自分の経験を物語として共有できる会社は、離職率が低く、エンゲージメントも高い傾向があります。 - ブランド段階──文化が「社会的信頼」に変わる
社員のストーリーがSNSや動画で発信されることで、企業ブランドが形成されます。「この会社、いいな」と感じさせる力は、広告よりも強く働きます。採用はブランディングの一部であり、ブランディングは採用の延長線上にあるのです。
物語経営が生み出す価値
物語とは、理念を人の行動に変えるスイッチです。採用説明会で語られるひとつのストーリーが、学生の人生を動かし、企業の未来を変えることもあります。ストーリーを設計することは、経営そのものを再設計することでもあります。
結び
理念を“伝える”から“生きる”へ──その転換を生み出すのが、ストーリーテリングの力です。企業の本質を伝える手段として、物語は最も人の心に届く方法のひとつです。
理念は伝えるものではなく感じてもらうもの:採用と経営をつなぐストーリーテリングの力
採用説明会は理念を体験に変える舞台
採用説明会は、単なる採用活動の一場面ではありません。企業の理念を“言葉”から“体験”へと翻訳する場です。学生が「この会社に入りたい」と思うのは、待遇や安定ではなく、「この物語の続きを、自分も生きたい」と感じたときです。そこにこそ、ストーリーテリングの本質があります。
伝えるべきは“何”ではなく“なぜ”
企業の理念やビジョンを語る際、多くの企業は「何をしているか」に焦点を当てがちですが、本当に伝わるのは「なぜそれをしているか」です。
– なぜその事業を選んだのか
– なぜその価値観を大切にしているのか
– なぜその挑戦を続けているのか
この“なぜ”が明確であればあるほど、聞き手は自分の人生と重ねて考え始めます。理念が説明から共感に変わる瞬間は、経営の姿勢そのものが伝わった瞬間でもあります。
理念は経営資源ではなく物語的中核
理念が組織の中で形骸化してしまうのは、掲げ方ではなく“届け方”の問題です。言葉だけでなく、行動や体験、エピソードとして届けることが重要です。そのために、音楽や映像といった無形の表現手段が大きな役割を果たします。
音楽が理念を“感じさせる”手段になる理由
音楽は、言葉を超えて理念を感じさせる力を持っています。メロディや歌詞の一行が、理念の本質を一瞬で伝えることがあります。
– 企業の成長ストーリーを音楽で描けば、社員は初心を思い出し、学生は企業文化を直感的に理解できる
– 音楽は単なるPRではなく、理念を体験するブランディングになる
理念を伝えるとは、信念を押しつけることではなく、心の温度を共有することです。そしてその共有を、最も自然に、深く実現できる手段のひとつが音楽なのです。
結び:理念をどう語り、どう感じてもらうか
企業の物語をどう語り、どう感じてもらうか──そこに、これからの採用と経営の新しい境界線があります。理念を伝える時代は終わり、理念を感じてもらう時代が始まっています。その設計を支えるのが、ストーリーテリングであり、音楽というもうひとつの言語なのです。



コメント