
皆さんこんにちは!ソングメーカー代表、井村淳也です。
よさこいソーラン楽曲の制作においては、様々な選択肢があります。
曲調、長さ、楽器、速さ…
そのどれもが、お客様のご要望に沿った「フルオーダーメイド」で制作していくのが、当方よさこいソングメーカーの基本方針となっています。
その中でも、特に大きな違いで2つに分けるとすれば、
歌を入れるか
歌を入れないか
に分かれる、と言うことができます。
よさこいソングメーカーでご依頼いただく制作においては、およそ半々くらいの割合で歌を入れるか入れないかに分けられます。
今回は、そのそれぞれの特徴、メリットなどから見た考え方をご説明いたします。
歌を入れる場合のメリット
歌をいれることでどんな効果がある?
まず歌を入れる場合ですが、この場合は何よりも「人間の歌声が入る」ことで歌の生命力が増し、存在感が強くなることが期待されます。
また、歌詞を作るうえで訴えたいテーマやキーワード、楽曲の方向性など、音楽だけではなく「言葉」の力を楽曲に添えることができることもメリットと言えるでしょう。
楽器の音色と、人間の歌声は、まったく異質のものです。
だからこそ、音楽の中に歌声が重なることでその魅力は大きくなるのだと思います。
考えられるデメリット
本来、楽曲制作の表現方法は自由なものですから、そもそも「デメリット」というものが存在するかというのは微妙な考え方になってきますが、あえてデメリットを挙げるとすれば以下のようなものが考えられます。
歌うためのメロディラインは、ある程度その音域や動き方が限定されてきます。
裏声を多用することで高音域をカバーすることも可能ですが、やはりある程度の現実的な幅というものがあります。
その幅を明らかに超えてしまうようなメロディラインは、歌うこと自体は可能かもしれませんが、音楽の表現方法としては必ずしも適切ではないかもしれません。
ボーカリスト一人ひとりの良さを発揮するために、ある程度メロディラインの動きが限られてくる、というのが私の考え方です。
また、歌が実際に入ったときのイメージの変化、というのもデメリットのひとつとして考えられることです。
通常、よさこいソングメーカーではまず歌の入らない状態での作曲を行い、その作曲が終わってから、改めて歌入れへと進んでいきます。
実際に歌入れを行う前に、歌い手さんの歌声を聞いていただいてお客様とのイメージのすり合わせを必ず行いますが、それでも実際に歌が入ると
思っていたのと何か違う…
というご感想を持たれることがあります。
これはある意味で完全に防ぐことが難しい問題だと考えています。
歌が入らない状態で耳になじみ、楽曲自体はお気に召して頂けていたとしても、
歌が入りその歌声と演奏がミックスされた状態になったことで、その音楽の在り方にどうしてもイメージが合わないということは、今まで何度か経験してきています。
決して歌が良くない、ということではなくて、感じ方の問題なのでどうしても難しい部分ではあります。
それほど頻繁に起こることではありませんが、過去の事例として挙げさせていただきました。
歌を入れない場合のメリット
歌を入れない場合でもメリットがあります
では次に、歌を入れない場合のメリットを見ていきます。
ある意味で、歌を入れる場合のデメリットの反対となります。
歌を入れないゆえに、そのメロディラインには音域などの制約がなくなります。
どんなに複雑で動きの激しい、高低に幅広いメロディラインでも問題ありません。
例えば全体的に激しい動きで演奏されることが多い楽器、三味線や琴と言った和楽器をメインに打ち出すメロディラインが楽曲で多くを占める場合には、特にメロディラインに制約が無いというのは大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
私自身の作曲スタイルが、メロディラインの動きを大きく取る形で制作することが多い、ということも、このメリットをより強くしているとも考えられます。
作曲する人によってメロディラインの考え方は異なりますが、私の場合はメロディラインに強いこだわりを持っています。
考えられるデメリット
歌を入れない場合のデメリットも、やはり入れる場合のメリットの反対と考えられます。
「楽曲の表現力が(歌声の入らない分だけ)少なくなる可能性」がある、ということです。
ただ、これに関しても必ずしもそう言えるわけではなく、楽器演奏ならではの対応方法もあります。「歌が入らないとしても、歌声に頼ることなく各楽曲独自の音楽表現が検討できる」ということです。
具体的には、以下で記載します。
デメリットの対処法
デメリットにも対応策が考えられます
歌を入れる場合、入れない場合、それぞれの考えられるデメリットもあえて挙げてみました。
もちろん、その対処法はあります。
例えば、歌を入れる場合のデメリットとして挙げた「三味線や琴をメロディラインにすることで制約が出てくる」というパターンを考えてみます。
この場合は三味線や琴を目立たせないのではなく、裏方として演奏を引き立てる役割にするのです。
そしてメロディラインは別の楽器。ある程度高音域を伸ばす演奏形態が多い楽器がメインを取る。
このようにすれば、十分に対応可能です。
三味線や琴は、和楽器の中でも代表的な存在です。
特によさこいソーラン楽曲では多くのお客様が好んで取り入れています。
それらの楽器の良さを損なわず、楽曲で使っていく工夫も考えて制作しています。
また、歌を入れない場合のデメリットとして挙げた「楽曲の表現力が(歌声の入らない分だけ)少なくなる可能性」についても、対応方法はあります。
例えば、楽曲で使用する楽器を多く使用し、メロディラインの演奏を複数の楽器で重ねる。
同じ楽器でもオクターブずらしてユニゾンで重ねる。
と言った対処をすることで、十分に存在感のある表現が可能です。
むしろ私の経験上ですが、歌の入らない段階で十分に上記のような形で楽器演奏でのメロディラインの存在感を強くしていった場合、その後から同じメロディラインに歌を入れて重ねると、少し「やり過ぎ」かなと感じられるほどの仕上がりになる場合があります。
すでにメロディラインが出来上がっているような状態の音源になっているため、そこにさらに歌声まで含めると収まりが悪くなってくるのです。
もちろん、これもバランスの問題である程度編集作業で調整は可能ですし、そもそも歌入れを行う前に元の楽器でのメロディ演奏を小さくしたり、楽器を減らしたり、といった方法もあります。
ここで申し上げたいのは、歌が入らなくてもメロディラインを太く、存在感のある印象にすることは十分可能だということです。
人間の歌声は常にオリジナル、唯一のものです。また、歌う瞬間、瞬間で、同じ歌い手さんでもまったく同じものは二つとありません。音程や強弱、息づかい、その日の体調や感情の込め方など、様々な側面で微妙に違いが生じます。だからこそ、歌声は素晴らしいのだと思います。
歌が入っても、入らなくても、ご満足いただけるように
どんな曲でもご満足いただきたいから
よさこいソングメーカーでは、どの制作においてもその楽曲の在り方を常に考えています。
歌を入れるのか、入れないのかは、最終的にはお客様のご判断ですから、そのご判断に従い、こちらとしては常に最高の仕上がりにできるように努めます。
歌を入れるとしても、入れないとしても、いずれにしてもその曲がお客様の耳に届くときには喜んでいただけるように、いつでもより良い楽曲に仕上げられるように考えています。
お客様の
頼んでよかった!
のお声が聞けるよう、これからも心を込めて楽曲制作を続けてまいります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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