
よさこいチームの人数が多くなるほど、
「意見がまとまらない」「話が進まない」「修正が止まらない」
そんな悩みが増えていきます。
けれど実は、問題の本質は人数そのものではありません。
本当に難しくなるのは、
情報の伝え方・決め方・すり合わせ方の“構造”です。
550曲以上のよさこい楽曲を制作してきた中で、
少人数チームよりも大人数チームの方が
スムーズに進むケースも数多く見てきました。
その違いを生むのは、才能や経験ではなく、
制作プロセスの設計です。
この記事では、大人数チームだからこそ起きやすい問題と、
それを防ぐための具体的な工夫を、
現場の実例を交えながら解説します。
「人が多いから仕方ない」
で終わらせず、
人数を“強み”に変える制作の考え方を、一緒に紐解いていきましょう。
この記事を読むことで得られること
- 大人数チームで制作が止まりやすい本当の原因が、「人数」ではなく「構造」にあると整理できます
- 意見が割れる・言えない空気が生まれる場面で、制作を前に進める「決め方の設計」がわかります
- 共通言語づくり・段階設計など、修正が爆発しないための具体的な工夫を自チームに落とし込めます
まず結論:大人数チームの制作は「人が多いから難しい」のではなく、情報・決断・すり合わせの“構造”を先に設計できるかで、難しさが強みに変わります。
大人数チームは“人数”ではなく“構造”で難しくなる
大人数チームの制作が難しくなると、
よく「人数が多いから仕方ないよね」と言われます。
けれど、550曲以上の制作現場を見てきて断言できるのは、
問題の本質は“人数”ではないということです。
実際、
- 100人近いチームでも驚くほどスムーズに進むケース
- 20人程度でもまとまらないケース
この両方を何度も見てきました。
違いを生むのは、
人数ではなく“構造”です。
■ 人が多い=意見が多い、ではない
意外に思われるかもしれませんが、
人数が多いチームほど、
実際に意見を言う人は限られていることがほとんどです。
- 声の大きい人だけが発言する
- 若手は様子を見る
- 「決まったなら従おう」という空気が流れる
結果として、
表に出る意見は少数になります。
問題は、
出てこなかった意見が“後から不満として噴き出す”こと。
制作が進んだ後になって、
- 「実はあの時から違和感があって…」
- 「言いづらくて黙っていました」
こうした声が出てくると、
修正は一気に難しくなります。
つまり、
大人数=意見が多い、ではなく、
大人数=“言えない人”が増える
これが現場のリアルです。
■ 問題は「情報の伝わり方」
大人数チームで最も起きやすいのが、
情報の“ねじれ”です。
代表が理解していることと、
振付師が受け取っていることと、
一般メンバーが聞いている話が、
微妙にズレている。
- 伝言ゲームのように変質する
- 意図が簡略化される
- 「なぜそうなったか」が抜け落ちる
すると、
同じ曲を聴いているのに、解釈がバラバラ
という状態が生まれます。
これは、
誰かの理解力の問題ではありません。
構造の問題です。
情報の経路が整理されていないと、
必ずこうしたズレが起きます。
■ 代表・振付師・メンバー間のズレ
特に起きやすいのが、
代表・振付師・一般メンバーの三者間のズレです。
- 代表は「チームの想い」で曲を聴く
- 振付師は「構成・見せ場」で曲を聴く
- メンバーは「踊りやすさ」で曲を聴く
同じ音を聴いても、
見ているポイントがまったく違います。
この違い自体は悪いことではありません。
むしろ健全です。
問題は、
その視点の違いが共有されていないこと。
「代表はここを大事にしている」
「振付師はここを優先している」
これが見えないまま進むと、
後から必ず衝突が起きます。
■ 「一度出した方針を変える」のは非常に難しい
制作現場で最も重い決断は、
一度決めた方針を変えることです。
- すでに振付が進んでいる
- メンバーに共有している
- 練習スケジュールが動いている
この状態で
「やっぱり方向変えよう」は、
想像以上に大きな負担になります。
だから多くのチームが、
「違和感はあるけど、このまま行こう」
という選択をしてしまいます。
結果、
本当は修正すべきポイントが残ったまま、
本番を迎えることになる。
これは、
誰かの勇気が足りないのではなく、
後戻りしづらい構造になっているだけです。
■ 大人数チームが難しくなる本当の理由
大人数チームの制作が難しくなるのは、
人が多いからではありません。
- 意見が出にくい構造
- 情報が歪む経路
- 後戻りできない設計
こうした“仕組み”が原因です。
逆に言えば、
構造さえ整えれば、
大人数チームは少人数よりも強い制作体制になることも可能です。
次のセクションでは、
そのために欠かせない
「全員の声を平等に聞かない設計」
について掘り下げていきます。
全員の声を“平等に”聞かない設計がうまくいく理由
大人数チームの制作で、よく見かけるのが
「みんなの意見を平等に聞こう」という姿勢です。
一見、とても民主的で理想的に思えます。
しかし現場では、この“平等主義”が
制作を止めてしまう原因になることが少なくありません。
■ 民主制が失敗しやすい場面
よさこい曲制作は、
「多数決で決められるテーマ」ではありません。
- 迫力がいいか
- 物語性がいいか
- 新しさを取るか
- 王道を取るか
これらはすべて価値観の選択であり、
正解が一つに定まるものではありません。
ここで全員に意見を求めると、
- A派とB派で割れる
- 声の大きい人の意見が通る
- 若手は空気を読んで黙る
結果、
決まらないか、不満が残る決まり方になります。
民主制は、
予算配分・日程調整など「ルールが明確な場面」では機能します。
しかし感性や方向性を決める場面では機能しません。
■ 意見の集約役を明確にする
大人数チームで制作を円滑に進めるために必要なのは、
「誰が意見を集約するのか」を決めることです。
- 代表
- 振付師
- 制作担当
- 音楽担当
形はチームごとに違って構いません。
大切なのは、
「最終的にまとめる人は誰か」を全員が知っていること。
この役割が曖昧だと、
- 「誰が決めるの?」
- 「それは代表?」
- 「振付師?」
と空気を読み合う状態になり、
誰も決断できなくなります。
意見を出す人と、
決める人は別でいいのです。
■ 代表の役割と覚悟
多くのチームでは、
最終決断者は代表になります。
ここで重要なのは、
代表は“みんなの意見をそのまま通す役”ではないという理解です。
代表の役割は、
- 全員の意見を聞く
- それぞれの背景を理解する
- チームとしてどこに行くかを決める
この三つを引き受けること。
「全員が納得する決断」は存在しません。
あるのは、
「全員がついていく覚悟を持てる決断」です。
代表が
「これは自分が責任を持つ」
と腹を括った瞬間、
チームの空気は変わります。
■ 決断できる構造づくり
決断を個人の勇気に任せると、
チームは不安定になります。
だから必要なのは、
決断しやすい構造を最初から用意することです。
- 意見募集の期限を決める
- 最終判断日はあらかじめ共有する
- 決断者を明確にする
- 決まったら振り返らないルールをつくる
こうした“仕組み”があると、
感情論にならずに前へ進めます。
決断できる構造があるチームほど、
- 制作スピードが上がる
- 満足度が高くなる
■ 「全員の声を平等に聞かない」とは何か
これは誰かを軽視するという意味ではありません。
むしろ、
- 意見は誰でも言える
- でも、決断は誰かが引き受ける
この役割分担があるからこそ、
チームは安心して意見を出せるのです。
次のセクションでは、
意見が割れたときに役立つ
“共通言語”の作り方について掘り下げます。
方向性を一本に束ねるための“共通言語”設計
大人数チームの制作で方向性がブレる最大の原因は、
言葉は同じでも、頭に浮かべているイメージが違うことです。
「かっこよく」
「迫力ある感じで」
「感動系で」
こうした言葉は便利なようで、
実は分裂を生む言葉でもあります。
■ 抽象語が分裂を生む理由
「迫力がほしい」と言われたとき、
- 重低音を強くしたい人
- スピード感を上げたい人
- コーラスを厚くしたい人
- 静から動のギャップを作りたい人
全員が「迫力」を思い浮かべていますが、
中身は全員違うのです。
抽象語は、
同意している“つもり”になれる
という怖さがあります。
その場では「いいね」とまとまっても、
実際の音が出てきた瞬間に
「思ってたのと違う」
が連発します。
これが、大人数チームで修正が爆発する典型パターンです。
■ 音のイメージを可視化する
そこで重要になるのが、
音のイメージを“見える形”にすることです。
- 速い/遅い → BPMで示す
- 明るい/暗い → 長調・短調
- 重い/軽い → 楽器構成
言葉を数値・構造・要素に落とすだけで、
解釈の幅は一気に狭まります。
私は打ち合わせでよく、
「この“速い”は120?160?」
「この“重い”は低音?人数感?」
と具体化していきます。
これだけで、
「思ってたのと違う」は激減します。
■ 擬音・参考曲・比喩の使い方
さらに効果的なのが、
- 擬音
- 参考曲
- 比喩
● 擬音
「ドン・ドン」なのか
「ドドド」なのか
「ズン…」なのか
リズムや質感は、
言葉より擬音の方が正確です。
● 参考曲
ただし、“好きな曲”を出すのは危険です。
大事なのは、
- テンポ
- 楽器
- 展開
- 「この曲の“ここ”」と部分指定すること
● 比喩
「疾走感」ではなく、
「自転車で下り坂を全力で走る感じ」
こうした比喩は、
感覚を共有するのに非常に有効です。
■ 550曲制作で見えた成功パターン(独自要素)
550曲以上の制作現場で明確に見えてきた成功パターンがあります。
言葉より「感覚」で会話できるチームほど、完成度が高い。
うまくいくチームほど、
- 擬音で会話する
- 体を動かして説明する
- 「ここで息止めたい」など身体感覚で話す
音楽を
頭ではなく体で捉えています。
逆に、
- 理屈だけ
- 用語だけ
- 正解探し
になってくると、制作は必ず迷走します。
私はよく、
「今の話、音にするとどんな感じ?」
と必ず聞きます。
この一言で、
抽象 → 具体
理屈 → 感覚
に一気に切り替わります。
■ 方向性を一本に束ねるための3つのポイント
- 抽象語を減らす
- 見える形に落とす
- 感覚で共有する
言葉を増やすより、
共通言語を作ること。
それができた瞬間、
意見の多さは“武器”に変わります。
修正が爆発しないための“段階設計”
大人数チームの制作で最も怖いのが、
後半になって修正が一気に噴き出すことです。
振付が進んでいる
衣装の方向性も決まっている
もう戻れない段階
ここで「やっぱり違う気がする」と言われると、
現場は一気に重くなります。
これを防ぐために必要なのが、
段階(フェーズ)を意識した進め方です。
■ 初稿で確認するべきポイント
初稿(ファーストデモ)の役割は、
完成度を見せることではありません。
確認すべきは、たったこれだけです。
- 世界観は合っているか
- テーマは伝わっているか
- 明るい/暗い、速い/遅いの感覚は合っているか
- 「この方向で行けそうか」
ここで
- 「音がまだ薄い」
- 「ここに和楽器足したい」
といった話を始めると、
必ずズレます。
初稿は設計図の確認です。
内装の話をする段階ではありません。
■ フェーズ分け(骨格 → 装飾)
修正が爆発しないチームは、
必ず段階を分けて進めています。
おすすめの流れはこうです。
① 骨格フェーズ
- 構成
- テンポ
- 展開
- 世界観
② 装飾フェーズ
- 楽器
- 効果音
- コーラス
- 細かい演出
③ 仕上げフェーズ
- 音圧
- バランス
- 最終調整
この順番を守らないと、
「ここ好きだけど、全体が違う」
という最悪の状態になります。
まずは“芯”を決める。
これがすべてです。
■ 意見を出す順番の重要性
大人数チームでは、
誰から意見を聞くかも重要です。
おすすめの順番は、
- 代表
- 振付師
- コアメンバー
- 全体
最初に全体へ投げると、
- 意見が拡散する
- 方向が定まらない
- 代表が後出しになる
という混乱が起きます。
まず決断者の感覚を固める。
そのあとで広げる。
この順番だけで、
修正回数は激減します。
■ 修正無制限を機能させる条件
私は「修正無制限」で制作しています。
ただし、これは
「何でも何回でも変えます」
という意味ではありません。
本当の意味は、
譲れない軸を決めた上で、自由に調整できる状態
を作ることです。
事前に決めておくべきなのは、
- 絶対に変えないもの
(テーマ・世界観・メッセージ) - 変えてもいいもの
(楽器・細かい展開・装飾)
これを整理しておくと、
- 「ここは任せます」
- 「ここだけは守りたい」
と建設的な修正になります。
逆に、何も決めずに
「全部変えてもいいです」
と言うと、
チームは逆に迷います。
修正無制限とは、
“自由”ではなく“安心”を与える仕組み
なのです。
■ 修正が爆発するチームと、スムーズなチームの違い
差が生まれるポイントは、この3つに集約されます。
- フェーズを分けているか
- 確認ポイントが明確か
- 意見の順番が決まっているか
段階設計ができれば、
大人数チームの制作は驚くほど静かに進みます。
大人数チームだからこそ生まれる“一体感の価値”
ここまで、大人数チーム特有の難しさや、その対処法をお話してきました。
けれど忘れてはいけないのは、人数が多いこと自体が、圧倒的な強みでもあるということです。
構造さえ整えば、大人数チームには
少人数チームには出せない魅力があります。
■ 人数が多いからできる演出
人数が多いからこそ可能になるのが、
- 大きなフォーメーション変化
- 波のようにうねる動き
- 一斉に切り替わる迫力ある場面
こうした“面”で魅せる演出です。
一人ひとりの動きはシンプルでも、
人数が重なった瞬間に、それは圧倒的な景色になります。
音楽は、その景色を最大限引き立てるための土台です。
- 盛り上がる場所
- 一斉に動く場所
- 息をそろえる場所
これらを音で明確にすると、
振付の魅力が何倍にも膨らみます。
■ 声・厚み・迫力の設計
大人数チームの最大の武器は、
“声の厚み”です。
- 一斉に叫ぶ
- 掛け声を重ねる
- コーラスを厚くする
この迫力は、人数がいなければ成立しません。
550曲以上の制作現場でも、
「ここは全員で声を出しましょう」と提案した瞬間に、
曲の印象がガラッと変わることが何度もありました。
ただし大切なのは、
常に全員で声を出せばいいわけではないということ。
- ここは一部だけ
- ここで一気に全員
- 直前まで静かに
こうしたメリハリ設計があるからこそ、
大人数の声は武器になります。
■ 観客への伝わり方が変わる
人数が多いチームの演舞は、
観客への“伝わり方”が変わります。
- 視界いっぱいに広がる動き
- 音と動きが完全に揃う瞬間
- 大勢が一つになる光景
これは、理屈ではなく本能的に刺さる体験です。
観客は、
- 「すごい」
- 「鳥肌立った」
- 「よくわからないけど感動した」
と感じます。
この“理由のない感動”こそ、
大人数チーム最大の武器です。
音楽は、その感情のスイッチを入れる役割を持っています。
■ チームの誇りになる一曲へ
大人数チームの楽曲は、
単なる「踊るための音」では終わりません。
- 自分たちの歴史
- 一緒に過ごした時間
- 乗り越えた苦労
すべてが、その一曲に詰まります。
制作が大変だった分、
完成したときの達成感も大きい。
「この曲は、俺たちの曲だ」
そう胸を張って言える一曲になります。
550曲以上制作してきて思うのは、
人数が多いチームほど、その曲への愛着が深いということ。
それは、
みんなで悩み、決め、作ってきたからです。
■ 大人数チームは、うまくいけば最強
- 圧倒的な迫力
- 一体感
- 観る人の記憶に残る演舞
その力を引き出せるかどうかは、
制作の設計次第。
人数を「大変さ」ではなく、
「価値」に変える曲づくり。
その一曲が、
チームの誇りとして、
何年経っても語り継がれていきます。
まとめ|人数は“課題”ではなく“武器”になる
大人数チームの制作が難しく感じるのは、
人が多いからではありません。
決め方・伝え方・進め方の構造が整っていないからです。
- 意見を平等に聞かない設計
- 共通言語をつくる工夫
- フェーズを分けた進行
- 譲れない軸の明確化
これらが揃うだけで、
制作は驚くほどスムーズになります。
そして構造が整った瞬間、
大人数チームは一気に最強の集団へ変わります。
人数が多いからこそできる演出。
人数が多いからこそ出せる迫力。
人数が多いからこそ生まれる一体感。
それは少人数では決して出せない、
大人数チームだけの価値です。
完成した一曲は、
単なる“演舞用音源”ではなく、
チームの歴史そのものになります。
「あの年はこの曲だったな」
そう語れる一曲は、
チームの誇りとして何年経っても残り続けます。
人数は、
大変さではなく可能性。
構造さえ整えば、
その人数は必ず“強み”になります。
大人数チームの制作、構造から一緒に設計します
- 意見がまとまらない
- 修正が止まらない
- 代表の決断が重い
- 方向性がブレる
そんな悩みがあるなら、
問題は才能ではなく構造です。
550曲以上の制作経験から、
大人数チーム特有のつまずきポイントを踏まえ、
ヒアリングから制作プロセスまで一緒に設計します。
- ✔ オンライン対応可
- ✔ 修正無制限
- ✔ 後払い制
- ✔ 全国対応
「人数が多いから無理」
ではなく、
「人数が多いからこそ強い」
そんな曲づくりを、一緒に実現しませんか?
👉 よさこい楽曲制作のご相談はこちら



コメント